この記事を書いているのは2017年大晦日。
折り返し地点を迎えた紅白歌合戦を聴きながら今年の仕事納めです。
さて、今年最後のインテリアプランニングの納品に中津市の新築戸建へ。
木をふんだんに使用した和風建築が印象的なリビングには3シートソファと1シートソファにオットマンが一つ。
建物の雰囲気に合わせて、木製のフレームの落ち着いたデザインのソファをセレクトしました。
1シートソファはデンマーク人デザイナー、カイ・クリスチャンセンが1956年に発表したデザイン。
60年以上たった現代の日本の新築にも溶け込むデザインは体にもしっとり馴染む普遍的なプロダクトです。
リビングのペンダントにはミッドセンチュリーの代表的なデザイナーの一人、ジョージ・ネルソンが1947年に発表した照明。
アメリカ人がデザインしたこの照明がなぜこんなに和の空間に合うのかが不思議ですが、北欧のソファやアメリカの照明が合う「和」「日本」の空間というものは日本人が思っている以上に包容力のあるグローバルな感覚を持っているような気がします。
ダイニングへ続く壁側にはリビング周りの小物を収納する小ぶりなキャビネットを設置。
フロートタイプ(壁に固定して浮いたようにすること)を想定していましたので、ゆくゆく脚を外して壁に固定することもできます。
ダイニングルームにはテーブルと椅子を4脚。
幅1850mmのダイニングテーブルは動線とライフスタイルを考えた末のベストの寸法で製作。
椅子はソファと同じくカイ・クリスチャンセンが1956年に発表したハーフアームチェアのマスターピース「No.42」
ちょうど良い高さにあるハーフアームとダイメトロール(伸縮性のある布)を使用したラウンジチェアのような柔らかな座り心地はくつろぎのダイニングシーンを演出してくれます。
生地は特注でブラックの合成皮革をセレクトしました。メンテナンスフリーで使えるところが小さいお子様のいる施主様のご希望でした。
ダイニングの照明「TR12 MEDIUM」はデンマーク人デザイナー、トム・ロッサウが2004年に立ち上げた自身のブランドの代表的な照明。
白樺を曲げて作った直径300mmの丸いシェードは木目を通した優しい光が広がります。
椅子も照明もデンマークのデザインですが、見事に建物と調和するのは先ほどと同じく「和」の空間が持つ魅力の一つだと思います。
ダイニングの奥のキッチンにはオーダーメイドでカウンターを製作いたしました。
深さの違う引き出しとゴミ箱スペースを設けた収納力を考えた設計です。
真鍮素地の取手が使い込むと良い味になってくるはずです。
今回ご相談いただいたような和の建築の場合、置くもののデザインとクオリティーのバランスをしっかり考えなければ、建物の素材感を家具(照明)が壊してしまう可能性もあると思います。
照明も含めた家具プランをしっかりと考えることで建物の良さをさらに引き出すことができると考えています。
本年は格別のご愛顧を賜り誠に有難く、厚く御礼申し上げます。 来年もより一層のご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。