STAMP FURNITUREオリジナルのルームディフューザー「Hours(アワーズ)」の香りの製作者、uem+ki(ウエムキ)として活動中でアロマセラピスト&ブレンドデザイナーの植村由布子(うえむら ゆうこ)さんとSTAMP FURNITUREオーナー土井純平の対談-前編-

「Hours」を作っていただいてから約2年半、製作当時の話や今だから思うことなどお話していただきました。


土井:今日はお忙しいところ時間をとっていただいてありがとうございます。

植村:こちらこそお願いいたします。

土井:よろしくお願いいたします。まずはディフューザーのことを伺う前に、せっかくの機会なので、前から聞いてみたかった植村さんの生い立ちについて伺ってもよろしいですか?

植村:はい、どうぞ。

土井:えーと、確かご出身は長崎県の五島…

植村:・・え?

土井:あれ?!

植村:違います(笑)

土井:えっと、ああ!壱岐ですね(汗)すみません(汗)

植村:よくあるんですよ。その次は対馬って言われます(笑)なかなか行き着かないんですけど。

土井:すみません!壱岐市のご出身ですね(汗)

植村:でも生まれは佐賀なんですよ。母が佐賀の出身なので。佐賀で生まれて、3歳まで福岡にいました。

土井:福岡でいうとどの辺に?

植村:太宰府あたりですね。それから父の転勤で壱岐に引っ越して。

土井:お父様のお仕事で壱岐へ?

植村:壱岐はもともと父の実家なんです。

土井:壱岐はお父様のルーツなんだ。

植村:そうなんです。

土井:じゃあ物心ついた頃から壱岐で暮らしてらっしゃったんですね。どんな島なんですか?

植村:まずアクセスでいうと、博多港から高速船で1時間くらいで行けるんですね。フェリーだと2時間ちょっとくらいかかります。
島としては都市部からのアクセスが良い方ですね。あと、高い山がないんですよ、豊前でいう求菩提山みたいな。だから島全体の起伏が少ないんです。それに対して対馬は結構切り立ってて、海岸線をずっと移動しなきゃいけないっていう違いがあります。壱岐は起伏が少ないから自給自足ができます。お米も育ちます

土井:へぇ、お米も。

植村:海に近いお米って美味しくないんじゃないの?って言われたりするんですけど、全然美味しいし、野菜もよく育つし、魚はもちろん美味しいし、畜産もたしか豚以外はあるのかな?だから結構豊かですね。
島の中だけで生活が成り立ちます。

土井:よく言う島のイメージとは違いますね。自給自足できる豊かな地形ですね。

植村:場所柄、朝鮮半島から近くて、日本の砦みたいな場所で、魏志倭人伝とか古い書記にも記述が残ってるんです。結構歴史的にも面白い場所ですよ。遺跡もあるし。人口に対して神社がすごい多いんですよ。神社巡りが好きな人とか、パワースポットとか好きな人にも結構注目されてますよ。

土井:へぇ。歴史が深くて観光地にもなっていると。

植村:なってますね。博多港から来て、史跡巡って、猿岩っていうゴリラの横顔みたいな岩があるんですけど、そこに行った後にウニ飯を食べ…みたいな。

土井:ちょうど良さそうな観光ルートですね。ウニ飯はめちゃめちゃ気になります。

植村:でしょう!で、泊まらずに帰れるという。

土井:へぇ。日帰りできるなら気軽に行けますね。

植村:そうなんですよ。本当は泊まってくれた方が壱岐にとって良いんでしょうけど、本当にアクセスが良いので。だから夏は海水浴に来る人も多いですね。あとは釣りをしに来る人も。

土井:博多港以外からも行ける?

植村:あと唐津ですね。最近は唐津から帰ってます。博多港からだと人が多いし駐車料金が結構高くて…唐津は駐車料がリーズナブルだし、唐津までも都市高に乗れば割とすぐですよ。佐賀方面は母の里帰りで馴染みがあったので道中、苦ではないですね。

土井:港に着いてから実家は近いんですか?

植村:いえ。もう本当にその壱岐の北の端っこなんですよ。だから小学校は当時、全部で18校ぐらいあったんですけど、私の通ってた学校までは3kmぐらいあったんで、一時間近く道草しながら通ってた記憶があります。幼稚園の頃から歩いて行ってましたね。だから足腰はすごい鍛えられました(笑)

土井:学校が多いですね。結構人口が多いんですか?

植村:面積的にも人口の規模的にも豊前あんまり変わらないんですよ。たしか26,000人ぐらい。

土井:そんなに!?意外と言っては失礼ですが、印象よりも多いです。

植村:多いんですよ。何千人ぐらいしかいないんでしょって思われるけど、意外といるんですよ。

土井:当時と今で島の様子は変わりました?

植村:変わったところもあるし、変わってないところもあります。実家の周辺は大して変わってないです(笑)
ただ、だんだん高齢化しているのは現実としてやっぱりあるし。私がいたときよりも明らかに子どもが少なくなっているなあっていうのがあるんですよね。

土井:やはりどの地方も高齢化の問題はありますよね。壱岐には何歳まで?

植村:高校を卒業するまでいました。それから大学で高知に4年住んで、大学卒業後は福岡で7年間、不動産の会社で賃貸営業の仕事をしてました。転勤とかで来られた法人の方とか、個人の方でお部屋を探している人の条件に合わせて物件ご紹介して、車でお連れするっていうのがメインの仕事でした。
母体としては、もともと管理業の会社だったので、オーナーさんを抱えていて、戸建てとかマンションとか事務所とかテナントとかのあらゆる物件を管理していて、オーナーさんの窓口もするし、空室があれば対策として提案書を出したりとか、物件の資料を作ったり、間取り図を作ったり、写真撮りに行ったりとかっていうことを色々やってたので、営業ではあったけど、割といろんなのをご自由にやらせてもらったかなと。

土井:へぇ。不動産関係でしたか。ちなみにお客さんはどんな方たちでしたか?

植村:そうですね、若い一人暮らしの方から、カップルから子育て世帯から、ご年配の人までいろいろでした。

土井:外国の方も?

植村:いらっしゃいましたね。アジアの玄関口と言われているので、結構アジア圏の人はいましたね。なので、いろんな人の暮らしぶりっていうのを、住まい探しっていう観点からたくさん観てきたと思います。

土井:僕も住まいを提案する立場ですが、それはなかなか見る機会がない部分ですね。色々な場所からいろんな理由でやってきて、今からここで住もうって思っている人たちの考えとか、思いを聞いたりとか知ったりできるわけですね。それは興味深いな。

植村:面白かったですね。ほんと今頃(3月)が一番繁忙期なんですよ。年度末で生活が変わる人が多いので。特に法人とかになると3月1日の事例で急いで誰よりも早く良い物件を探さなきゃみたいな感じになってるから、空いてないけど、もう資料でどれだけその物件を想像してもらうか、みたいな(笑)っていうのをやってましたね。

土井:めまぐるしいですね。福岡ほどの都市だったら人の入れ替わりが早いですよね。当時と比べると、今の生活のサイクルってだいぶ違うでしょう?

植村:そうですね、やっぱり家庭を持ってからの時間軸とは明らかに違いますよね。この時間も電車に乗ってたなとか、この時間やっと事務所に戻って事務作業を始めてたなとかいう感じの話はよく家でしますね。

土井:仕事とか年齢とかその時のステージによって、時間の使いかただったりとか、時間の過ぎ方みたいなのって全然変わるじゃないですか。インテリア的なことだと、部屋の雰囲気によって時間の流れがゆっくり感じたりできると思っているんです。自分もこっちに移住してから、なるべくゆっくりと時間が過ぎるような生活になるように仕事も暮らしも整えてる最中です。
一旦このサイクルになると、多分もう戻れないだろうなって言うのはありますけど。

植村:そうですね。ある種の緊張感は持てるし、すごく気持ちが高ぶるので、たまに昔のような忙しい環境に行くのも良いと思いますけど、今はそれを続けられないなと思いますね。
別に戻りたくないとかじゃないんですけど、なんか働くために生きてるみたいな感じだったんですよね。「楽しさ」とか「やりがい」はありましたけどね。
それが豊前に生活の拠点を置いて、「生きてる」みたいな、なんか漠然とした感覚とか、土井さんがおっしゃるように時間の流れっていうのは明らかに変わりましたね

土井:いろんな経験をして、自分の生き方に疑問を持ったりして、結婚とか何かのきっかけで生活の基盤が変わった時に、価値観の変化がおきますよね。
だから僕も今、この場所に来てなんだか単純に合っているなと思いましたね。今のライフスタイルの方が。

植村:土井さんはこちらに来る前は小倉に住んでたんですか?

土井:苅田町ですね。

植村:車で通勤してたんですか?

土井:そうですね。まあ、でも職場は小倉南区だったので、車で10分位ですかね。

植村:そこと比べても違います?

土井:違いますね。北九州と豊前市近郊だと人口が違いますのでそれだけ対応するお客様の数が断然多かったですね。よくやったなってぐらい。

植村:本当そうですよね。

土井:逆に今はひとりひとりのお客様と、じっくりと話を詰めて行ける時間を取れるので、その分、仕事の精度は上がってるなとは感じています。ペースとしては今ぐらいの方がいいんじゃないかなと思って。

植村:うん。うん。そうですね。香りに関しても、原料となる植物は自然界からいただいているものだから、限られた量をどのくらいのペースで使って世に出すのかっていうバランスは保たないといけませんよね。

土井:何事もバランスが大事ですね。
ところで、植村さんがこの仕事を始めたきっかけは何だったんでしょうか?

植村:実は私、元々そんなに香りが得意な方ではなかったんですよ。だから自分でも今こうして仕事としてやってるのは不思議だなと思うんですけど。

土井:そうなんですか?

植村:よくやってるなと思う。
そんなに香水のにおいとかが得意ではないんですよ。興味本位で使ったら香りが強くて、その後ちょっと自分で具合悪くなっちゃうみたなタイプだったから、あんまり香りのものを色々集めるとかもしたことなかったし、かと言って、無臭が良いとかでもなかったので、若い時は何の知識も無く、ダウニーとかすごく使ってたし、合成香料も生活の中に普通にありふれてたんですよ。
きっかけは10年ぐらい前にたまたま手作り石鹸をいただいて、1回作ってみようかなと思って。
その石鹸にどうやら香りをつけられるらしいと。で、無印で売ってるオレンジの精油を買ってみたのが始まりだったんですよ。
買ったのはいいんだけど、一本使いきれなくて余ったから、適当に素人考えで色々使ってみたんです。で、お風呂に入れてみようと思ってババババッと入れて。
ああいい香り、と思ったけど、すぐ香りを感じなくなったんですよね。ええ!?香り感じないじゃんと思って、追加で入れてとかやってみたら、ちょっと肌がピリピリしたりとか。

土井:入れすぎた?(笑)

植村:っていう経験があったんですよ。それから、夫が目が疲れてるって言うから、「分かった。じゃあ、ホットタオルに香り入れてあげる。」って精油を使ったら「痛い痛い!」ってなって。(笑)
あ、何も知らずに使ったらちょっと危ないかもっていう経験があったんですよね。
それから、夫の転職で豊前に引っ越すことを決めたときに、宅建の資格を活かして働くこともできるけど、不動産関係の仕事を離れて別のことしてみたいなと思った時にアロマをちょっと勉強してみようかなって思って、引っ越す前から勉強を始めたっていうのがスタートです。
私ベースが田舎育ちで、片道一時間ぐらい歩いて育ったから、結構身体がタフで元々の作りが元気なんですよ(笑)だから体調崩した時にこの香りで助けられました、みたいなエピソードがなくてすみません(笑)
なのでどちらかというと、興味本位で使ってみたらちょっと危ない目に遭って、それで勉強を始めたっていうのがきっかけです。

土井:なるほど(笑)きっかけは色々ですよね。
では、次は植村さんとSTAMP FURNITUREとの接点の話をしたいんですけど、最初、植村さんはお客様としてSTAMP FURNITUREに来てくださったんですよね?

植村:そうですね。実は私、インスタの最初の写真スタンプさんなんです。

土井:そうなんですか?!

植村:そうなんですよ。お店にお茶しに来たのを(笑)

土井:それは光栄です(笑)

植村:奥様がお子さんをおんぶされてた頃だと思うんですよ。で、私が出産直前で入院しなきゃいけなかったんで、それの前ぐらいに来たんですよ。
で、夫と今後のこといろいろ話してて「インスタでも始めるか。」みたいな感じで(笑)

土井:そんなノリで(笑)

植村:そうそう。そう言ってケーキでも撮ってみようかなみたいな。

土井:へー。ではその後ですね、お子様の椅子を注文してくださったのは。

植村:そうですね。

土井:でもその時はまだこういったアロマの活動されてるっていうのを知らなかったんですよね。それで2019年に中津のマルシェに出店した時に、たまたま隣のブースに植村さんがいて、「あ、植村さん…え?お店やるの?!」ってビックリしましたね。
確か、石鹸作りのワークショップをされていたんですけど、あのときはもう始めてだいぶ経ってた?

植村:まだ半年も経ってなかったんじゃないですかね。

土井:そのくらいだったんですね。
そこでの出会いがきっかけと言えばそうなんでしょうけど、その後スタンプファニチャーで開催したディフューザー作りのワークショップに発展した感じですよね。

植村:そうですね。よく勇気が出たなと思います。

土井:そうなんですか?

植村:「場所貸してもらえませんか?」とかよく言えたなと思って(笑)

土井:いえいえ!その時ちょうど僕も店が比較的空いている時間帯に使ってくださる方がいればいいなと思っていたので、いいタイミングに話をいただいて大歓迎。ぜひ使っていただきたいと思いました。

植村:本当にありがたかったですね。

(2019年に開催したディフューザー作りワークショップの様子)

土井:僕もアロマの世界とか全く分からなかったんですけど、自分で調合して好きな香りが作れるっていうのを見学させてもらって、すごい面白いなと思いました。

植村:奥様にも参加して作っていただきましたしね。

土井:そう。それがまたすごく良い香りで、すごく興味を持ちました。
家の中にはいろんな要素があるじゃないですか。家具デザインはもちろんですけど、その他に「色」とか「明かり」とか「風」とかあって。そしてその中に「香り」というものもインテリアの一つの要素として提案したいなと思ったんです。
当然、自分では作れないので、植村さんに相談させていただきました。

植村:その時、私ここでかき氷食べてましたよね?

土井:そんなタイミングで相談しましたっけ?(笑)

植村:そうだったと思います(笑)

土井:それは失礼いたしました(笑)

後編へ続く


植村由布子(うえむら ゆうこ)
佐賀県出身
幼少より長崎県壱岐市で過ごす
2016年に福岡県豊前市に移住
2018年からアロマセラピスト・ブレンドデザイナー(AEAJ) uem+kiとして活動開始
香りのデザインやワークショップの開催など豊前市を中心に活動中

instagram
https://www.instagram.com/uemki_yuko/

STAMP FURNITUREオンラインショップ「Hours」
https://shop.stamp-furniture.jp/items/28735518

ドラクエが元ネタ?独自の香りのブレンド方法とは?酒屋の気分に…後編はこちら

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です