2016年1月23日の夜から25日にかけて福岡県に大寒波が訪れた。

生まれてから九州以外に住んだことのない自分には「大寒波」という文字はあまりピンとこないニュースだったが体験してみると、それは別世界だった。

1月24日(日)朝起きると外は銀世界、福岡では見たことない雪の厚みに息子(2歳)も大喜び。福岡にいてこんなにフワフワな雪を触れるとは思っていなかった。

いつもならばこの時点がピークで、昼になり、気温が上がって雪が溶けるのだが、今日はいつもと様子が違う!

なんと言っても今回は「大寒波」だ。その日は気温が0℃を超えることはなく、どんどん雪の厚みが増していく。これは福岡では生まれて初めての経験だ。

工房が心配になったので様子を見に行ったが特に変わった様子もなく、戸締りと水道の確認をしてその日は店を閉めて家に帰ることにした。

次の日も変わらずの銀世界が広がっていたが、晴れ間も見えて非常に気持ちの良い朝だった。

今日は営業しようと決めていたので開店の準備をしていると水が出ない!

しまったと思いつつしばらく経てば元に戻るだろうと思い、温まってきた展示場でデスクワークを始めることにした。

この日のBGMはKeith Jarrettの「The Koln consert」1975年ドイツのケルンでおこなわれたコンサートアルバムだった。なぜこのアルバムを選んだのか分からないし、おそらくBGMとして選ぶのは初めてのことだった。

日差しが暖かく、インスタ投稿用の良い写真も撮れたし、順調に仕事をこなしていた時だった。

コンサートアルバムには観客の拍手も録音されていることがほとんどで、「The Koln consert」も例外ではない。

Keithが演奏を終えると当然のように拍手が始まる。大歓声だ。劇場に響き渡る拍手とスタンディングオベーションを想像しながら、ふと思う「やけに拍手が長いな…」

「これは拍手…か?」

スピーカーから聴こえる拍手の音は鳴り止まない。

次の演奏が始まっても拍手は鳴り止まない!

「これは拍手ではない!」

嫌な予感を遮るように走り出し、扉を開いた僕の目に飛び込んで来たのは手洗い場と流し台の2カ所から滝のように流れ出す水!

「こ、これは…!?」

こんな経験は当然ない!九州生まれの九州育ちである。水道管が凍って破裂するなんて知識はないから訳が分からない。

「とりあえず元栓を閉めなければ!」

外へ飛び出し、雪に埋もれた元栓を見つけ出しペンチを使ってなんとか水を止めた。

水は止まったものの、その後の水浸しの床を見ながら途方に暮れかけた時、みるみると水が引いていくではないか!

さすが古い建物!床板の隙間が多く水はけが抜群に良かったのだ!あれだけ滝のように流れ出た水はどこへやら。なんと雑巾3絞りほどの水を吸い取っただけで掃除が終わってしまった。

水道工事業者に連絡をしたところ「現在、同様の問い合わせが40件入っておりまして…順番に対応させていただいております。」やはり九州の方々は自分同様「大寒波」にピンときていない方も多かったのだろう。

とりあえず水道工事業者が来るまで待つか………

皆様、コンサートアルバムを聴くときは水周りのトラブルに気付きにくいことがあります。拍手が思ったより長い時は注意しましょう。

 

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水道管破裂1号

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破裂2号

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恐ろしく水はけが良い床

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掘り当てた水道の元栓(雪が解けた後に撮影)