福岡県福津市。
納品先は福間海岸にほど近い住宅地。
福津市はもともとは宗像市のお隣の宗像郡福間町と津屋崎町が合併してできた市であり、福津市に地元意識が強い宗像市民は僕だけではないはず。
地元民の多くが青春の1ページを刻んだであろう福間海岸、津屋崎海岸、宮地浜。
みなそれぞれにお気に入りの海があった。超インドアな私でさえも夕暮れ(限定)の海は大好きだった。
とりわけ宮地浜の沈む夕日が照らす砂浜と鳥居はいつも気持ちをリセットしてくれる僕のパワースポットだった。
前置きはこのぐらいにして、今回のインテリアプランニングをご紹介させていただきます。
2階建の新築戸建。
LDKの家具、照明、ブラインド、ポスター、植物などをご提案させていただきました。
(リビングからキッチン側に向けて)
LDKという間取りの場合、空間をリビングとダイニングに分けた時の比率をまず初めに考えます。
家族構成などによりこのバランスは様々ですが、今回は生まれたばかり(打ち合わせ時はご出産予定だった)お子様を含め5人で過ごすためのリビングでしたので、まずは5人で使用できるサイズのダイニングテーブルを配置。そうすると、通路にもなるリビング側には大きなサイズのソファは置けなくなってしまうので、ダイニング側のくつろぎ易さが大事になってきます。その辺りを家具デザインで補っていく進め方をしています。
ダイニングテーブルは長手方向は1700mm。近い将来に5脚目の椅子を置くことになりますので、これ以上の長さではリビング側を圧迫してしまいます。その分奥行は900mmと余裕を持った寸法にしています。
来客はソファに通すのではなく、ダイニングでくつろいでもらうことを想定して、最高の座り心地の椅子(個人的に)をセレクト。ハンス・ウェグナー氏が生涯最後にデザインしたダイニングチェア「PP68」はそれまで氏がデザインした数百脚ともいわれる椅子の集大成と謳われる至高の一脚です。
食事をとる姿勢、リラックスした姿勢、少し斜めに腰掛ける、全ての態勢において笠木(背もたれ)が背中および腰にフィットして腰痛持ちのご主人もお気に入りの座り心地。
価格こそ決してお安いものではありませんが、これから先の財産として代々受け継がれる椅子になるでしょう。
ダイニングの照明はポール・ヘニングセンがデザインした名作PH5 Contemporary アーミーグリーンをセレクト。黄昏の明かりがテーブルを優しく照らします。
(リビングのドアを開けた時の見え方。広角レンズなのでリビング側が広く写っています。)
ダイニングを広めに取った分、リビングはコンパクトになりましたが、コンパクトな分「少人数が寛げる空間」と割り切った配置にしています。
今回は条件が整いましたので掃出し窓に木製のブラインドを使用。これにより窓周り(特にTVボード側)をすっきりさせることができました。
オーダーメイドのTVボード
リビングのペンダントライト
暗くなりがちな壁際にも明かりを配置(重要項目)
また、今回ご購入の物件は建売り住宅で壁紙の変更がきかず、全て白だったため、せっかくならと壁のセルフペイントをご提案。ペンダントのオリーブグリーンに合わせて、ペンキをセレクトしました。キッチン側はブルーグリーン系、ダイニング側にカーキベージュ系。壁とペンダントライトのグラデーションになっています。
壁の色が変わるだけで、部屋の印象がかなり変わりますね。
今回のプランニングにあたり、御依頼主様の質問に次のようなことがありました。
雑誌で見る注文住宅のようなデザインに凝った住宅ではなく、一般的な規格住宅なのだが、デザイン性の高いインテリアを置いて良いのか?そしてそれが違和感なく合うのか?
私の答えはむしろ逆でした。
もちろんデザインにこだわって作った注文住宅も素晴らしいですが、注文住宅のように味付けされていない空間の方が中に置くものの自由度は増すし、置くもの次第で空間はいくらでも良くなります。
また、建物の予算を大きく下げられたおかげで家具や照明を幅広く選べる予算が生まれたと考えればそれはそれで非常に良い選択だと思います。
そして、その家具たちは必ずやこれからの人生を支えてくれる同志となり、守ってくれる財産となると信じています。